前項では本来のヒトの体の動きと、
それが制限されることについて触れました。
ここでは結合組織がどうなるのか、
体がどうなるのか・・・
を考えてみたいと思います。
規模の拡大
繊維組織が多く配置され、動かされることの少ない部分から
結合組織は硬くなると前述いたしました。
結合組織としての硬さは、繊維そのものの硬さではなく、
繊維と繊維の動きが無くなることによる組織としての硬さです。
そして組織の硬さは周辺の自由を奪い、
関節の硬さ、体全体の硬さになってゆきます。
まさにミクロからマクロと言ったところでしょう。
繊維の凝集
結合組織はタンパク質の繊維が不織布のように
織り重なってできている組織でした。
そして繊維間の体液循環が滞ることで
骨のような硬さになるものでした。
ではタンパク質の繊維がどのようになって、
組織としての硬さに繋がるのかを考えてみます。
それは題目の通り”凝集”です。
繊維と繊維の隙間は無くなり、繊維の塊になってゆくと考えられます。
ミクロレベルだとこのようですが、これがマクロ・・・
目に見えるサイズでいくと・・・
伸び縮みしない全身を覆う布がどんどん縮んでいく感じになります。
これは日に日に、年々・・・じわじわと進んでゆきます。
気付いたら何かしらの不具合を抱えている事でしょう。
結合組織の凝集により起こる不具合
全身の動きが取れなくなってくると言っても
具体的に想像するのは簡単ではありません。
まず姿勢などは自由がきかなくなります。
骨の自由なポジショニングも当然無理ですし、
関節などへの圧迫力は増し、動きが緩慢になり、
筋繊維への負荷も上がります。
ここで勘違いしてはいけないのが、筋繊維即ち筋肉に負荷がかかっても、
筋肉が太くなるためのスペースが無いため出力強化はされないということです。
むしろ条件が悪ければ、筋収縮によって結合組織の凝集を助長したり、
柔らかい器官を圧迫するかもしれません。
そうなんです、結合組織は全ての器官を包み込んでいるため、
血管、内臓、神経などの自由も奪われるのです。
運動器以外の不具合
ヒトの体には様々な器官が存在します。
胃、肝臓、腎臓などをはじめとした臓器や、
唾液を分泌する唾液腺、眼球や蝸牛、食道や気道・・・
それら構築物をそれぞれ器官といいます。
これらの器官がもれなく全て結合組織により緊縛されてゆきます。
例えば、胃や心臓などの中空性の臓器は外からの圧迫力に抗います。
食べられる量が減ったり、心臓が肥大するのは無関係とは思えません。
このように結合組織の凝集によって起こる不具合の可能性について
次項で具体的に挙げてみたいと思います。